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2012-09

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Family Trip to the USA 2012 "The Thimble"  - 2012.09.26 Wed

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今回のアメリカトリップの目的は2つ。一つ目はこれまでのエントリーの通りで家族一緒にDevils Towerのてっぺんに立つ。そしてもう一つはJohn Gillのボルダープロブレムを登る。

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ここはSouth Dakota州ブラックヒルズにあるニードルズ。花崗岩の岩塔がニョキニョキ生えてる不思議な場所。この周辺にはJohn Gillが1960年代に登った数々のクラシックプロブレムがある。

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奇岩が多い景勝地であるため観光客も多く、特にこのNeedle's Eye (針の穴)と呼ばれる岩は名物岩。この穴をくぐって上までいくルートもある。

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そのすぐ側にちょこっと立っている岩がある。
Thimble (指ぬき)と呼ばれるこの岩が今回の旅の目的だ。

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ちょこっと立ってる言うても、基部に立てば「どかーんと立ってる」って印象に誰しもが即変わるだろう。この正面のライン(ちょうどトラックのすぐ後ろ辺りを真っ直ぐ上に)を初登したのがJohn Gill。The Thimbleと呼ばれるそのラインはなんと1961年にロープリハーサル無しで、ボルダリングとして登られた。このブログを見てくれてる人はJohn Gillを知ってる人がほとんどだと思うけど、フェイスブックから見に来てくれてる若い世代の皆さんのためにJohn Gillの説明を少し。

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このおっちゃんがJohn Gill。1950年代後半〜60年代にかけてのアメリカンロッククライミングのメインストリームはカルフォルニアのYosemiteに代表されるビッグウォールクライミング。そんな時代に高さの低い岩で難しいラインに挑み続けたのがこの人。まあ一種の変人ですな。体操選手であった彼はロッククライミングで初めてチョークを使った人であり、体操で培ったコントロールされたダイナミックな動きをクライミングに持ち込み確立した人である。そうした事からJohn Gillはモダンボルダリングの父と言われているのだ。

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そのJohn Gillのボルダリングプロブレムの代表作がこの高さ約10mのハイボルダー、The Thimble。当時5.10が難しいルートと言われていた時代に彼が登ったThe Thimbleは5.12と言われている。ルートとして見るなら世界初の5.12だ。当然今のようなクライミングシューズも無ければ、ボルダリングマットもない。しかも写真でもわかるように登った当時は墜落地点付近に車止めまである!(笑) 1961年の初登以降、トップロープでの再登は数回あったものの、同じボルダリングのスタイルで第2登が出たのはなんと1981年だ。また彼は他に1950年代後半既にV8/9レベルのクライミングをしていた。いかにJohn Gillという人がぶっとんだクライマーだったか窺い知る事ができる。自分はクライミングをアメリカで始めたのだが、学校もあるしパートナーはなかなか見つからず、始めた当初はボルダリングがメイン。そんな頃出会ったちょっと古株のクライマーから伝説のクライマーJohn Gillの事は聞かされていた。いつか彼のプロブレムを登ってみたい。チャンスがあればThe Thimbleをトライしてみたい。20年以上の思いがようやく実現したというわけだ。

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前日のがっつりディナーで重い体を引きずってThe Thimbleに到着すると、なんと先客が。よく見ると前々日、我が家がDevils TowerのSolarを登った時に同じルートを先行してた2人組。なんでも今からThe Thimbleをトップロープでトライするらしい。おー、参考にさせてもらおう。ボルダリングとしてトライしに来ている自分だが、あまりの高さとホールドの乏しさに威圧され、あっさりオンサイトを捨てる。ヘタレですみません。オンサイトで突っ込んで登った草野さんヤバ過ぎます。

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コロラドから来てるという2人組、登れる方の兄ちゃんが怒濤のトライを重ねるものの、半分も上がれない。参考にならんということで、我が家のホープを送り込む。(笑) 妻もトライしてみるが、やはり半分も行けない。。。

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はいGill様、私が間違っておりました。ちゃんとボルダリングで登ります。「初登者と同等、それ以上のスタイルで登る」と言う私の尊敬して止まない◎ーシー様の言葉が頭をよぎるが、ほんまシャレにならん高さなんでコロラドでクラーク君から借りたRevolutionの新型マットを躊躇無く敷きます。ヘタレですみません。これをダウンジャケットか寝袋か忘れたけど、それだけ置いて登った草野さんヤバ過ぎます。

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ここの岩は花崗岩なんだけど、岩には丁度岡山の王子ヶ岳のような大きめの結晶が散らばっている。この結晶が持ちにくいし、滑るし、ものによっては欠けるし。出だしは細かいものの、傾斜も垂直だしグイグイ行く。

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前半の核心部、中間のかかりの良い結晶を取る。コロラドの兄ちゃんも妻もこれが取れない。行ってみると傾斜も強くなるし、結構取る動きが悪い。The Thimbleはボルダーグレードに直すとV4とかV5と言われてるけど、ここまででV4って感じがする。まあ緊張感もあるから難しく感じるのかもしれない。

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滑りそうな足で大きな動きの連続になり、この辺りから緊張感のバロメーターが一気に上がってくる。

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そして大きめの結晶が密集する最後の戦略的駐屯地。ここから急激にホールドが悪くなる。数手先でぶっ飛んだChuck Frybergerの墜落シーンが頭をかすめる。もしもの時のために着地地点を確かめる。なんとパッドの小さいこと。。。あー見るんじゃなかった。

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結局ここからどうしても右に移れない。というか移る勇気がない。飛び降りると相当痛そうなので、そこから左に少しトラバースして決死のダウンクライミング。降りるのも非常に怖い!

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ワントライでの心のダメージはこれまで登ってきたどのハイボール課題よりも大きい。離れたところであの高さであのホールド達を掴みにいく自分を想像してみる。取りに行きたいホールドは核心ホールドで数個の結晶をそれぞれの指で押さえる系。しかしそこに行くまで自分のリーチでは2手程かなり悪いホールドで絶えないとそれが取れない。取れたとしてもそこからの一手がChuck Frybergerがしくじったあの1手だ。そこで手が出せないとなると、両手が悪すぎるのでムーブのリバースは不可能。んわー、緊張する〜。

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そんな父ちゃんの緊張はおかまいなしでThimble Swingを楽しむ娘。

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ひゅ〜〜〜。

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その後2度トライしてみるも、どうしてもそこから先に進めない。気持ちが自分を抑えてしまう。今から考えると最終ホールドを掴むイメージよりも、そこに行くまでの悪いイメージしか湧いてこなかったわけだから、その時点で敗北は決まっていたんだと思う。ただただ20年の思いだけでラインにへばりついていた。

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俺が生まれる前にJohn Gillはこれを登っていた。登山靴でマットも無く、下には車止めのある状態で。。。GillはThe Thimbleの登りを振り返りこう言った。「To me it was a test to see how far I was willing to go to be an exploratory solo climber」と。どこまで行く「気持ち」があるかのテストだったと。ボールドなクライマーとはどんな連中か頭ではわかっていたし、自分はそういうレベルでクライミングをしていない事も十分理解している。このThe Thimbleでの体験は一流クライマー達の壁の大きさを心底実感した。あそこから先に進んだGill様や草野さんがどんなところでクライミングをやっているのか。一流と二流の差はとてつもなく大きい。

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妻も俺のトライの合間にがんばって、なんとか下部核心はこなせるようになった。Gill様の体験の一部でも感じてもらえただろうか。ロープを回収するために最後にトップロープでやってみた。ボルダリングでは突っ込めなかったあの部分に突入し落ちることなくトップアウト出来たのだが、考えていたよりもホールドは悪く、しかもChuckが取ろうとして落ちた一手は自分には果てしなく遠く、結局予定していなかった不安定なハイステップからその途中のスローパーにデッドをかまして登りきった。ボルダリングで突っ込んでいたら、確実に躊躇し諦め、飛び降りる選択をしていただろう。足の1本くらい折っていたかもしれない。

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今回のThe Thimbleの経験で自分には2つの後悔がある。一つはやはりトップロープ。トップロープをしたことで自分の諦めるという決断は正しかったとわかったのだけど、やはり逃げた感は拭えない。ボルダーとしてトライし、ボルダーとして敗退という体験の方がきっとGill様や草野さんに近い所にいれたと思う。そしてもう一つは核心に突っ込めず敗退した時に全てダウンクライミングしてしまったことだ。横に逃げても自分のこなせるラインでトップアウトすべきだったと心底思う。The Thimbleというラインを登りに来てるのだから、そこから外れてはダメなんだけど、そこに縛られすぎた。今の自分の精神力ではThe Thimbleは登れない。自分がもしもこの岩を初登するとしたらGill様のラインではなく、絶対に上部で横にずれて登ったはずだ。自分に出来る登りを精一杯やることが自分の登りではないか!既成ラインに負けただけでなく、自分の登りをも見失ってしまってたんじゃないかと本当に悔やまれる。情けない限りだ。この体験も一生忘れることはないだろう。

The Thimbleを撤収してその後はまた別のGill様クラシック課題であるThe Scabをやりに行ったのだが、それはまた次のエントリーで。

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