FC2ブログ
topimage

2018-09

スポンサーサイト - --.--.-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

千日登攀:倉上慶大というクライマーと過ごした夜その2 - 2016.03.01 Tue

senjitunoruri01.jpg
photo: Satoru Hagiwara
改めて千日の瑠璃というルートを見てみる。全7ピッチの中で2、3、4ピッチがモアイフェイスを抜けるオリジナル部分でこの約120mに5.13c, 5.14a, 5.13dが連なっている。グレードだけ見ると今日のハードルートでは決して最難というレベルではないが、なぜこの3ピッチがすごいのか。。。なぜこの千日の瑠璃が日本のフリークライミング史に残るクライミングであるのか。 それはすでに皆さんご存知の通り、ここでは3ピッチを通してプロテクション用ボルトが1本も埋められることなく登られたからである。

lookingdown.jpg
photo: Satoru Hagiwara
花崗岩のフェイスを登ったことのある者であれば容易に想像がつくと思うが、所謂花崗岩のフェイスというのはそれはそれはスッキリした岩である。瑞牆に行くと見えるこのモアイフェイスも「いや〜スッキリしたキレイな岩やなー」と見た者誰しもが思ってきたことだろう。そんなプロテクションを取る部分が非常に乏しいフェイスでスモールカム、ナッツ、スライダー、そして悪名高きガムテープ固定のスカイフックを駆使し、最大20mのランナウトをこなしてのクライミング。しかもそんなプロテクションからランナウトをした上で2段〜3段クラスのボルダームーヴをこなすという、高いクライミング能力と尋常ではない精神力が求められるルートである。

senjitunoruri02.jpg
photo: Satoru Hagiwara
当然落ちると非常に危険である。千日の瑠璃ではデシマルグレードの横にアルファベットで「PD」「R」「R/X」の表記があるが、これが危険度を示す。この表記は映画のペアレンタルガイダンスの記号から元々は来ている。映画でもPG13、R、X指定と内容のエグさによってお子ちゃまは見ちゃダメよ的な表記があるが、あれをクライミングの危険度を表す記号として使っているのだ。私はPDというのは知らなかったがおそらくこれがPG13に匹敵するもので、所謂ランナウトの始まりレベル。5〜6mはプロテクションが取れず、落ちれば怪我をする可能性が高まることを意味する。次のRは落ちた場合は骨折も含む大怪我をする可能性が高いレベル、そしてアダルトなXは死亡も含む重大な結果をもたらす可能性が含まれるランナウトという意味だ。 余談であるが実はXの上にもまだあって、確かイギリスのシークリフにAndy Pollitt達が開拓してたエリアにはXXやXXXというルートもあった。プロテクションが取れない上に岩が脆いという正にデスルート。次の日にレッドポイントしに行ったら壁ごと崩壊していたという逸話もある。(笑)

senjtunoruri03.png
photo: Satoru Hagiwara
千日の瑠璃に話を戻そう。クライマーだけでなく、墜落してきたクライマーがビレイヤーに激突し、ビレイヤーがただでは済まない可能性すらあるこのルート。なぜ倉上氏はこの岩にプロテクション用のボルトを打たなかったのか? 同じ瑞牆山にある他のエリアにはボルトルートは多数存在する。命の危険がある箇所だけでも打つことは選択肢としてあったはずである。スライドショーを通して彼はそのことを一生懸命、言葉を選びながら語ってくれた。

senjitunoruri04.jpg
photo: Satoru Hagiwara
瑞牆山のルート開拓の歴史も国内の他のエリア同様ボルトラダーによるエイドルートの開拓から始まり、70年代後期よりナチュラルプロテクションを用いたエイド、そして80年代初期からフリーへと移行していく。80年代後期はフェイスルートの時代が訪れ、その後90年代にかけてボルトをプロテクションとしたルートが多く開拓されるようになる。そんな流れの中で十一面岩はナチュラルプロテクションを用いるトラディショナルなルートエリアとして開拓されてきた。そしてここにはフリークライミングの原点的なルート「春うらら」がある。もともとエイドルートとして登られたものだが、80年代初期に戸田直樹氏によってフリー化(1P=11b,2P=12a)、その時にマスタースタイルを持ってして完登とする当時最高のスタイルを実践した。

senjitunoruri05.jpg
photo: Satoru Hagiwara
そんな十一面岩の正面壁にモアイフェイスはドカンと鎮座している。しかもそこを貫くルートは1本もなく。この大岩壁に魅せられた倉上氏はそこにルートを拓くにあたり「いかに登るか」を大いに悩んだという。ミニマムボルトの思想を持って開拓すれば問題にはならなかったであろう。しかしそれであればなぜモアイフェイスにルートが無いのか。既にカンマンボロンや大面岩といった広大な花崗岩フェイスには高難度ルートがボルトプロテクションによって開拓されてきているというのに。ただタイミング的なものなのかもしれないが、彼はそうは考えない。そこにルートが無いのは先人達が敢えてボルトによる開拓をしなかったからだと。クラシックルートである春うららの「スタイル」に拘った開拓から始まったこのエリアでの歴史を継承した自分の納得のいくスタイルでルートを引こうと心に決めるのである。とは言え、プロテクションが取れないでは話にならない。広大なフェイスに多くの時間と労力を費やしてその可能性を探る。そしてなんとか取れそうなことを確認したわけであるが、それは物凄いリスクを伴うランナウトになることは必然であった。これを最初はグランドアップでトライしようとも考えていたというのだから、相当高いイメージを持っていたことが伺える。

senjitunoruri06.jpg
photo: Satoru Hagiwara
彼は千日の瑠璃を開拓するにあたって、瑞牆山の開拓者を含む様々な人と直接話をし意見を聞いたという。その過程の中で先人達や先輩クライマーにとってのクライミングとは何か、そして自分のクライミングとは何かを考えに考え抜いてきたのだと思う。また彼は古い文献も読み漁り、開拓とは何か、ルートを初登することとは何かも模索し熟考している。クライミングという行為がただ登るだけのアクティビティではなく、自分自身で在ること、すなわち表現者としていかに登るかを相当な深さで求めていたように思う。また先人達の登りとその思いがあって、今の我々のクライミングがあり、そこに繋がりがあってこそ未来のクライマーへと何かを残していけるという考えもあったのではないだろうか。その結論が戸田氏と同じく「今出来る最高のスタイルでの完登」であるトラッドだったのだ。

senjitunoruri07.jpg
photo: Satoru Hagiwara
だからと言ってすんなり登れる代物では当然ない。命の危険が伴うスタイルなのだから。しかも彼はこれまで10年間のクライミング歴のほとんどをボルダリングに費やしてきた男なのだ。マルチピッチクライミングの経験も半年!千日登攀では貴重な動画も披露してくれたが、その中で実際2P目のトラバースの核心で大フォールをし骨折をしてしまう。それでも骨がつききらぬ内から岩に戻り出来る作業をし、腫れた足を無理矢理クライミングシューズに突っ込んでトライをする。異常なまでの登攀欲である。この激しいクライミングへの情熱という感情的な側面と、ランナウトという恐怖に直面しながらしっかり考えて行動する冷静さという側面、一見相反する心の動きがとんでもない次元で同居しているのだ。スライドショーの話を聞きながら、私は何が彼をそうさせているのだろうかと考え続けていた。そして分かったことは、この男は本当に一生懸命フェアで在ろうとしているということだ。

senjitunoruri08.jpg
photo: Satoru Hagiwara
これまでのクライミングを築いてきた先人達に対して、一緒に登ってきた仲間に対して、モアイフェイスが織りなす奇跡のラインに対して、倉上慶大というクライマーに対して、彼のクライミングを取り巻く全てのことに対しとことんフェアで在ろうとしている。クライミングにはスタイルこそあるにしろ、ルールはない。全てが自由なのだ。しかし自由であるが故に何でもアリにもなりがちである。節操の無い開拓、スティッククリップの乱用、ムーブ解決手段としてのムービー、チッピング等、周りを見渡せば嘆かわしい事だらけだ。しかしそれらは厳密にはルールは無いのだからルール違反ではない。だからこそクライミングには「フェアプレイ」の意識がとても重要であり、フェアで在る事でのみ本当の自由なクライミングが可能なのではないだろうか。

senjitunoruri10.jpg
photo: Satoru Hagiwara
あの夜会場で彼の話を直接聞けた皆さんは、それぞれ何か感じるものがあったと思う。その感じた事とは勿論このトンデモナイクライミングについてもあるだろうが、実際は自分自身のクライミングについてではないだろうか?自らを危険にさらすようなハードコアな登りをしろというのでは決してない。自分がフェアなクライミングをしているのかどうか、それを考える一つのきっかけになったのではないだろうか。それぞれがこれからの自分のクライミングにおいて、少しでもフェアで在ろうと意識し、出来ることから実践してもらえれば、良いクライミングの輪が拡がっていくと思う。そしてその輪こそがクライミング文化なのだ。この大切なものを引き継ぎ、実践し、次世代に手渡していきたい。個々の登りは全てつながっているのだ。

スポンサーサイト

千日登攀:倉上慶大というクライマーと過ごした夜その1 - 2016.02.26 Fri

SenjitsuPoster.jpg

2016年2月20日(土)、いつもの土曜日なら客足が落ち着く夕暮れ時のジムは人で溢れかえっていた。この日は瑞牆山モアイフェイスにトラッドなスタイルで「千日の瑠璃」というとんでもないラインを引いた倉上慶大氏のスライド&トークショーなのだ。とある有名山岳ライターに「2015年に日本人が行なったベストクライミング」と言わしめたあの男の話が聞けるのだからそれは期待も膨らむというものだ。予約数だけでも110名前後、ジムのスタッフも入れると120名程の人が集まったことになるのか。それだけ注目の登りでありクライマーということなのだ。

audience2.jpg
会場となったリードエリアはご覧の通り満員御礼。もっと広い会場だったら皆さんもう少しくつろげたのでしょうが、す、すみません。。。実は倉上氏のスライドショーを思いつき、社内で企画検討した時は50人くらいかなという話もあったのだ。しかし日本のクライミング史に残る登りを初登者ご本人から語っていただけるまたとないチャンス。企画開催はクラックスだけれど、これは関西のクライミングイベントとして取り組もうと私のわがままを押し通し、100名を目標にしたというわけなのだ。しかも予約が100名を超えても、キャパの許す限り受け入れようということでこんな感じとなってしまいました。声かけにご協力いただきました関西のお取引先クライミングジム様、ありがとうございました!おかげさまで多くの方にお越しいただくことができました。

moai.jpg

また今回、倉上氏からも沢山の方に来ていただくためにアイディアをいただきました。それは参加費。この業界、スライドショーは結構無料というのが当たり前のようになっているのですが(私の住んでいたアメリカでは通常有料だった)、500円の参加費で500円相当のブラシをプレゼントしてはどうかとご提案いただきました。そうすれば相殺して無料のようなものだし、ブラシなら岩場でも役立つアイテムということでブラッシングの輪も広がるのではないかと。そんなタイミングで国産ブラシメーカーのpamoさんがオリジナルブラシ作成サービスを開始されたので、イベントオリジナルブラシを作ろうとなった次第。イラストは倉上画伯ご本人の力作モアイでございます。

IMG_2422.jpg
スライドショーは、千日の瑠璃を登る前のボルダラー時代、モアイフェイスとの出会いと開拓、そして千日の瑠璃の登りの大きく分けて3部構成でした。まずモアイフェイスってなんだってところから触れないといけないとなると、このブログは永遠に終わらなそうなので、知らない人はロック&スノー誌70号を買って「千日の瑠璃」の特集を読むように。このスライドショーではその誌面では語りつくせなかった開拓裏話やこの登攀への情熱、そして先人たちやその歴史に対しての熱き思いなどをじっくり語ってくださいました。予定時間の1時間を大きく超える2時間オーバーのスライドショー。けれど彼の話に引き込まれたあっという間の時間でした。

IMG_2423.jpg
まあ私がこのブログでいくら千日の瑠璃について語ったところで、倉上氏本人の口から語られることが一番だし、誠に直球であったわけで、あえてその内容を事細かにこのここで書くつもりは私自身もない。よって彼の語らいの時間の中に身を置いた者の一人として、私自身が思ったこと、感じたこと、考えたことについて書きたいと思う。

IMG_2426.jpg

「クライミングはつながっている」
倉上氏はクライミング歴10年。そのほとんどをボルダリングに費やしてきた。私も彼に会ったのは四国のボルダーだった。その時から「強い」印象のクライマーであったわけだけど、そんなクライマーはこの世になんぼでもいる。しかし彼は少し違っていた。既成人気課題を一生懸命トライする人々の外れで、その時私は水辺に立つ手つかずの苔だらけな岩を掃除もせずに登っていた。彼はなんとそれに付き合って一緒に苔を掴み笑いながら登ってくれたのだ。遠く四国まで遠征に来ていたにも関わらず。クライミングは遊びだ。けれど一生懸命遊べるヤツはそんなにいない。一生懸命努力ができる人はいるんだけどね。遊びは強い好奇心から生まれる。私は彼の中に好奇心の塊を感じた気がした。

IMG_2427.jpg
そんな彼のクライミングはその後黒本を道しるべとし、彼らしい登りを展開する。初登者と同じマットを使わないスタイルを選びながら、黒本掲載課題を全て登りつくすのであった。これと時期を並行して、より高くハードな漢前なラインの初登をし始める。京都の笠置の長年のプロジェクトを完成させ「Rebirth」とする。そしてまた豊田でも同じく長年のプロジェクトだったラインを登り「荒城の月」が生まれる。ハイボールでハイグレードな危険に満ちたボルダリングだ。「落ちてはいけないクライミング」の積み重ねと、行くのか行かないのかという精神的な葛藤の連続、またそのためにさらに自身のクライミングを高めていくことで安全マージン(そんなものがあるのか?)を少しずつ広げていくプロセス。そんな登りをしてきた彼だから、ランナウトをして2〜3段のムーブを含む、ボールドなマルチピッチも登れたのだろう。

IMG_2428.jpg
実は世界にもボルダラーと呼ばれていた人たちが近年、ボールドなクライミングを実践している。中でも有名なのは、アメリカのボルダリング女王リサ・ランズ。あのトラッドムービーの金字塔Hard GritのオープニングルートGaiaを登っている。そしてトミー・コールドウェルと一緒にエルキャプのDawn Wallを登ったケビン・ジョージソンだって元々ボルダーがメインだった。彼らに共通して言えることは、ボルダリングで培った自身のクライミング能力や経験を、ボルダリングの枠に囚われず新たな試みに繋げてきているということ。自らのクライミングに枠をはめないことではないだろうか。クライミングはクライミング。クライマーとしての経験を積んでいきながら、その時にやりたい登りをやったらこうなったという印象があるのだ。

IMG_2429.jpg
自分はボルダリングしかしないから、私はクラックしか登りません、僕はボルトルートしか無理です、こんな言葉を私は職業柄よく聞く。もちろん遊びなのだから、それぞれが自由に興味があることだけを楽しめばいい。ただ自分の可能性、クライミングがもたらしてくれる世界を自らの先入観だけでリミッターをかけてしまうのはもったいないこととも思う。私自身これまで30年クライミングをしてきているが、今でもやりたいクライミングがたくさんある。そしてその時やりたいクライミングはやはり今までのクライミングと繋がっていてるのだ。それが出来るのは、自分自身あまりジャンルを意識していないためではと思う。全てがフリークライミング。巨大な壁もアレックス・オノルドの前では本質的にはボルダリングとなるし、ナチュラルプロテクションを取るトラッドクライミングの究極の形はボルダリングとも言える。そして落ちてはいけないプアプロテクションのトラッドルートでは、登りのメンタリティーはボルダリングそのものである。様々なクライミングは実にシームレスに絡み合い繋がっていることに気づくはずである。

ボルダラーがマルチ。しかも死ぬかもしれないボールドなトラッドとなると、誰しもが出来ることではないけれど、自分のクライミングというのはそれぞれ見つけることができると思う。ゲームのステージをクリアしていくようなグレードを追って攻略法ばかり考えてる登りもいいけれど、これまでの自分の経験を活かして何かちょっと違ったアングルで挑戦できるようなクライミングもまた楽しいものですよ。あの夜の倉上氏はそんなことも語りかけてくれていたような気がした。

うーむ、本当はまだ別のテーマでも書くつもりでいたのだが、すでに長くなったので急遽タイトルに「その1」をつけて、これはこれで千日登攀最初のブログ投稿としよう。ではまた、つづくー。(笑)

First Time - 2010.07.16 Fri

yulead.jpg

娘が初めてリードした。
新しい接点がまたできた。
これからまたクライミングが楽しくなるな。



Good Job!


Good Pump, Good Laughter! - 2010.02.26 Fri

IMGP2653.jpg

IMGP3093.jpg

Mini-Pa 2010
腕バンバンにしながら笑いの絶えない一日。

皆さんおつかれさまでした~。
そして良い時間をありがとう!

★ミニパのアルバム★

Slow Time - 2010.02.02 Tue

IMGP1932.jpg

柔らかい光が入り込む午後のひととき。
まだ静かなジムの中をゆっくりと時間が流れる。
こんな時にふとムーブのアイディアが生まれてくる。



NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

Johnny

Author:Johnny
Welcome to Johnny's World!

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

FC2カウンター

カレンダー

08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。