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2017-10

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When Legends Die - 2017.03.15 Wed

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朝っぱらから「記憶にございません」と昭和育ちの我々には悪い政治家の決まり文句でしかない言葉を吐いてるおばちゃんの事や、万博の報告書をセンスのかけらも感じられない関西弁で作ったアホなおっさんらの事がTVから流れてくる。ただでさえ今日は寒いのに、ほんま気い滅入るっちゅうねん。気分が悪いのでベランダで一服しながらスマホをいじっていると飛び込んできたこの文字。

"RIP Royal Robbins"

ウソやろー。嘘やんなー。急いで他のフィードも探してみるも、この情報をアップしてるのはコロラドの老舗クライミングショップのNeptune Mountaineeringだけだ。Rock & IceもClimbing Magazineも触れてない。ほんまかなあとその時は半信半疑だったが、それから数時間後にはいろんな方面からこの偉大なクライマーの訃報が流れはじめてきた。。。

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ロイヤル・ロビンス。
アメリカのロッククライミング史を語る上では避けて通ることができないほどの人物。
1957年にハーフドームのウェストフェイスを初登。アメリカの地で初めてのVIグレードが付いたビッグウォールクライミング。その他にもエルキャピタンのサラテウォールを1961年にトム・フロストやチャック・プラット等と共に初登し、ビッグウォールの天井を更に押し上げる。他にもサラテメンバーにイヴォン・ショイナードを加えたノースアメリカンウォール、ドリュのアメリカンダイレクトなど、ビッグウォール&アルパインクライミングの偉業は数知れず。現代フリーに直結する登りとしては、コロラドのキャッスルロックで初登したアスリートズフィートやファイナルエグザムなどの5.11台のルートを1964年には登っている。すっかりおっさんの俺ですらまだ生まれてない時代やし。ロイヤル・ロビンスはロッククライミングの技術やレベルをガッツンと押し上げてきた原動力のような人なのだ。そんな経験からRockCrafts等の技術書も出して、多くのクライマーに影響を与えたました。

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また技術面だけでなく、いかに岩を登るかという思想的な側面でも非常に影響力を持った人でした。当時のピトンやボルト打ちまくりのエイドスタイルに疑問を持ち、可能なかぎり岩に手を加えず、次に登る人たちに同じ条件を残していくようなクライミングスタイルを提唱、所謂クリーンクライミングの始まりです。この辺り、ノーズの初登者であるバッツウォーことワーレン・ハーディングのボルト打ちまくりの開拓スタイルに異を唱え、サラテは可能なかぎり残置を残さない形で登ったし、同じくハーディングが初登したWall of the Early Morning Light (後にドーンウォールと呼ばれるライン)をボルトを抜きながら再登していくというかなり挑発的なこともやってたりしました。この辺りのエピソードはValley Uprisingというフィルムを見ていただくのが手っ取り早いかと思います。またこのクリーンクライミングの象徴というか証明として完成させたのが、今やヨセミテマルチの入門中の入門であるナットクラッカー。終了点も含め全て回収できるスタイルでの初登。しかも奥様とそれをやってのけるってのがまた粋ですわ。

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そんな彼の訃報だからネット上でもその時代のクライミングを知る「古株」な連中を中心にニュースは広がっていったわけだけど、そんな中にドゥルー・ルアナというティーンネージャーが以下の文章と共に訃報をシェアしておりました。

"A true loss for the climbing community. We wouldn't live in the same world if he hadn't influenced the evolution of climbing like he did. RIP to a legend."

(彼の死は)クライミング界にとって間違いなく損失だ。もし彼がやってきたようにクライミングの進化に彼が影響を与えていなかったら、僕たちは今いるこの同じクライミングの世界には生きていなかっただろう。

このドゥルーという青年、実は自分がアメリカのスミスロックでクライミングに没頭していた時のルームメイトだった友人の息子なのだが、彼はアメリカのクライミングシーンで活躍するカイ・ライトナーやアシマちゃん達と並ぶ注目のアメリカンティーネージクライマーの一人。アメリカのユースチームメンバーにも選出され、国際コンペにもアメリカ代表として出場している。また岩場でも地元スミスロックではJust Do It(5.14c)はもちろん、ほぼ全ての5.14を登り尽くし、スミス最難ルートも彼が初登しているとんでもない青年なのだ。そんな今のクライミングシーンの前線を突っ走るこの若き青年がロイヤル・ロビンスの訃報を上の言葉と共にシェアしているのである。

ふと考えた。日本はコンペシーンにおいては今や世界No.1。ティーン達の成長もめざましい。しかしこの日本のクライミングシーンのティーン達の中に一体どれだけの子たちがロイヤル・ロビンスを知っているだろうか。古いアメリカのクライマーだからってのがあるかもしれない。では何人のティーン達が故吉田和正氏を知っていただろうか。アメリカでコンペで活躍するクライマー達は、それと同等それ以上に岩でのクライミングシーンでも活躍している。日本のティーン達はその一方でどうだろうか。

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これは決して日本のティーンクライマー達がコンペクライミングしかしてないやんけという批判ではない。むしろそれよりもそんな世界最高レベルのコンペクライミング能力を持つ日本の若きクライマー達に、我々おっさん世代がまったく岩登りや、それにまつわる人物/歴史についてしっかり伝えることが出来ていないという、そちらの現象の方が胸が痛い。アメリカではクライミングが競技としてだけでなく、自然を相手にするスポーツであり、また文化的活動であることをちゃんと次世代に伝わっている。そういう意味では、日本のクライミングシーンはどんどん歪みが生じてきているようにも思う。そんな今の日本では「クリーンクライイング」という意味も、ゴミをしない、岩場を汚さないという違う意味でしか理解されていないのではなかろうか。クリーンクライミングがクライミングという観点からの思想であることも正しく理解できるような感覚を持たねば、どこぞの岩場の落書き事件をさもクライミングの問題として勘違いしてしまうような風潮になってしまう。こんな状況を作ってしまった我々おっさん世代の責任は重いし、次世代クライマーのためにもやらねばならんことが山盛りあると思う。 だからお願いだ。おっさん&おばちゃん達よ、クライミングの話をちゃんと周りにしていこうではないか。

影響された人偉大なロックレジェンド達の死に触れる度に、様々なことを考えさせられる。
今日もそんな1日にまたなってしまった。

Rest In Peace, Mr.Royal Robbins.
偉大なるロックレジェンドへ、心より御冥福をお祈りいたします。

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Family Trip 2016: Little Monkeys on The Big Monkey〜Day5 - 2016.09.14 Wed

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モンキーフェイスファミリートライの翌日は今度は前島さんとモンキーフェイスを登る計画にしていた。そして同じ登るなら違うルートでということで、スミスロックのレジェンドAlan WattsとChris Groverが1983年に初登したAstro Monkeyにしようと決めていた。このルートはモンキーフェイスの西壁の傾斜のきつい部分を一番下から攻めていく。1ピッチ目が極小エッジをつなぐフェイスクライミングから極細フィンガークラックに合流する5.11d、2ピッチ目はフィンガークラックの5.9、3ピッチ目は細いコーナークラックからルーフを超える5.11a、4ピッチ目は短めの小ルーフ超えを含む5.10、そこから5ピッチ&6ピッチはファミリーで登ったMonkey Space(5.11a、5.11b)に合流する合計6ピッチのメガクラシックだ。(写真の青いラインがAstro Monkey、赤いラインがファミリークライミングライン)

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しかしながら前日の予定外のエピッククライミングで自分自身かなり疲労してしまっていたこと、また連日の足場の悪いアプローチで前島さんも持病の足腰痛が出てきたことからマルチはどうしようかという話になる。せっかく遠路はるばるオレゴンのスミスロックまで来ているのだ。そうは言うても前島さんもモンキーの頭の上まで攀じ登りたいに決まっているし、登ってもらいたい。そこで急遽前日に登ったルートで挑むことになった。

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昨日オンサイトしたルートなのでどこにどんなギアが必要か分かっているし、各ピッチの負荷も理解している。ギア類は前日の1/3くらいに絞り込み、クイックドローも半分以下にする。あー体が軽い軽い! 準備をしているともう1パーティがやってきて同じルートを登ると言う。聞けばオンサイトトライらしい。これまでデビルズタワーでもハーフドームでも他パーティーに先に行ってもらって待ち時間が発生しひどい目に遭ってきたので、今回は先に行かせてもらう。逆の立場になって彼らを待たせるのは嫌なので、プロテクションをほとんど取らずにグイグイ登り続ける。この時点で2本しか取ってない。(笑)

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前日うちの姫たちが苦労していた出だしのハングは軽く超えてくる。流石前島さん。

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回収するギアもほとんどないのでただただ登って行くだけ。さぞ楽しいことでしょう。

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あっと言う間に1ピッチ目を終え、2ピッチ目もランナウト&スピーディーに走るように登っていきます。

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モンキーの首まであと少し。ここのリッジに出た時に右奥を覗くと日陰の中で威圧的に佇むJust Do Itが見えるのよねー。リッジとかカンテとか面の境目のクライミングって自分が居る場所&空間を感じながら登れるのでたまらんねー。

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前島さんも順調にフォローしてきます。ルートの内容については前エントリーで触れているので割愛。その代わりこの日は写真を沢山撮ってもらえたので写真を多めでいきたいと思います。

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この日は軽量装備のため、ガチャ類もドローもぜーんぶハーネスにぶら下げられる!なんと動きやすいことか!

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核心のバルジ越えも楽チーン。。。だけど2回目でもやはりこの辺は露出度半端なくドキドキは変わらない!

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ケイブの天井に打ち込まれたボルトでアンカーを取ってオンビレイ。上から見下ろすとこれまた絶景なのだ。

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前島さんも順調にトラバースをこなして核心のバルジへ。この先にあるエッジが見えにくく更に少し遠い。

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わかりづらいホールドでのバルジ越えは自分を信じて突っ込むしかない。思い切って攀じるのみ!

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今日もあかつきさんの「がんば〜っ」の声が聞こえてくる。

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膝の悪い前島さんにはきついバルジ越えの乗り込みだったが無難に突破。

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高度感抜群のロケーションでのクライミングはなんとも気持ち良い!

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朝陽を浴びるモンキーフェイスがそのシルエットを地上に落とす。かなり早いペースで上がってきております。我々のすぐ後を登ってきていたはずの別パーティーはまだ1ピッチ目をフォローが登っている。これで追いつかれることはないな。

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快適なケイブでしばしくつろぎタイム。ここには風防付きのシェルターがある。今はどうか知らないが自分がスミスに住んでいた30年近く前は、クライマー達が満月の夜にモンキーフェイスの天辺にジャンベと酒とプラスαを持って上がって月見をするという連中がいた。頂上で寝てると寝相が悪いヤツはえらい目に遭うからこのケイブに寝泊まりしていたんだろうなあ。いつか夜上がってみたいもんです。

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さて、前日大変な目にあった最終ピッチ。パックを背負って登った時に比べ体が超軽いので、出だしのしんどいリップスタートもこの日はキャンパシングです。(笑) 相変わらずホールドは遠かったけどロックもしやすく気持ちよく登っていける。ただ改めてボルト間隔を見てみると確かに近いには近いが、ヌンチャクつかんで次のヌンチャクがつかめるほどは近くない。こりゃ悠さんもみづほも大変やったなと今更ながら思う。いざとなればヌンチャク持ってバシバシ行けるやろーとかなり無責任なアドバイスしとったからなー。ちょっと反省。

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矢印の先に見えるのが私です。見えますか? なんたってこの位置ですからねー。ここでセルフレスキューを試みて、次のヌンチャクに手が届かず無念のフォールを繰り返した妻はさぞかし怖かっただろうなあ。(笑)

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前島さんには一応フォールしてあかん時はプルージックで抜けて来てと伝えておいたが、かかりの良いホールドだけにそこはノープロブレム。どんどん登ってきます。

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ホールドが遠くパワフルとは言えそこは5.11。安定した登りで難なく一撃してきます。さすがです。

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しっかしこうして写真で改めて見ると、スゲー岩だなモンキーフェイスは!立っているのが不思議です。(笑) 登っている間中、下のトレイルを行き交うハイカー達がやんややんや言うてるのが聞こえてきたが、やっぱりここに登れるというのはクライマーの特権ですな!

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ハング帯を無事突破し、頂上に向かって登ります。眼下には素晴らしい景色が広がっています。

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前日では全く心の余裕が無くて撮れなかった絶景記念撮影を忘れる前にパシャリ。やっぱり登ってきて良かったですね、社長!

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自分も調子に乗って撮ってもらう。ああ、この横に妻と娘が居たら完璧なのに。。。笑

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そして恐怖の空中懸垂に突入です。今日もお尻がキュっとなります。

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登りも下りもワイルドなモンキーフェイス。こんな体験が出来るのもクライミングをやってたからだなーとJust Do Itを眺めながら思う。ここに住んでた若い頃はモンキーなんてそのうち登りゃええわと思っていたが、なんと四半世紀も経って登ることになるとは。タイムマシーンがあったらあの頃の自分にさっさと登れと言いたい。ゆらゆら懸垂で降りながらハタチの頃にここのクライミングにのめり込んだこと、そのために大学を中退し住み着いてしまったこと、グレードを追い求めひたすら登っていたこと、その時に一緒に切磋琢磨した仲間のこと、そんな昔の情景が今も変わらぬジュニパーの香りに誘われるように蘇ってくる。

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まるで懸垂で地面がゆっくり近づいてくるように、そんな思い出から昨日の家族とのクライミングへと頭の中で様々な情景がつながっていく。これが時の流れというものなのか。気がつけば四半世紀以上という時間が経過している。俺はちゃんと命を全うしているのだろうか。大学を辞める時、自分はこれからクライミングで生きていくと決めた。そしてそれは今も続いている。こらからもずっとそうで在りたい。48歳、生まれてから5回目の干支の年。これから後何年登り続けられるのだろうか。世界にはまだまだ登りたい岩がある。家族ともまだまだ登りたい。やはり還暦の時にもこのお猿さんにへばりつきに来ようかな。その時には孫と一緒だったりして!(笑)

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おっと、まだ感傷的になってはいけない。地面までちゃんと降り立ってからクライミングは終了なのだ。前島さんの空中懸垂のバックアップに入る。前島さんもこのワイルドなクライミングを最後まで堪能していることだろう。

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お疲れ様でした〜!

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取り付きに戻るとあかつきさんがえらい顔で爆睡中でした。今日も早起きやったからなー。ありがとね。

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モンキーフェイスを後にしてしばらくして振り返ると後発組のパーティーが懸垂下降をしているところだった。モンキーの鼻からぶら下がっている様はまるで鼻水のようやった。(笑)

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まだ午前中ということもあり、日陰エリアが多いのでせっかくだからみづほや悠さんにも登ってもらうことに。しかしみづほは前日のゴボウの際に指の皮がむけてしまって昨夜は包丁すら持てなかったので悠さんが先発。なんとリードをしたいと言う。

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ジムでもほとんどリードはしたことがないが、ガイドブックに載っていない一見やさしめのスラブフェイスを発見したのでそれを登らせてみる。この手のクライミングは彼女の得意とするところ。落ち着いて安定した登りで高度を稼いでいく。

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昨日這い上がったモンキーフェイスをバックに本日は自らがリード。ええやんええやん、悠さん!

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そのまま危なげなくフラッシュに成功。何気に自然の岩での初リードでした。Good Job!

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それに触発されてか、手のひらの痛みであまり登る気がなかったみづほさんも登ることに。明日はシアトルに向けて移動なので、この日が最後のクライミング日。出来るだけ登っとかなきゃね。するとここで悠さんがママのためのビレイを買って出る!

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このトリップの準備として、もしも前島さんが同行出来なかった場合は俺と悠さんとでモンキーフェイスを登るつもりでいたので、ビレイはジムで練習を重ねてきた。練習の成果をどうしても披露したいらしい。みづほにとっては連日のドキドキ緊張クライミングとなった。(笑)

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傾斜も緩く簡単なルートだったけど、30m近い長さで登りごたえ十分な気持ちいいフェイスでした。このスケール感がアメリカはええよねー。

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自分だけ皆と同じことをやらせてもらえないことに不満のようでご機嫌斜めなあかつきさん。まだ2歳やからなー。けど来年はどっか一緒に登れるか?!悠さんが「おっさんなんかと登ってられるかー」と言い出す日が来た時はあかつきさん、よろしくお願いしますよ。

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そうこうしているうちに太陽も移動し、強烈な日差しが辺りを焼き始める。本当に日陰と日向の温度差が激しいなあ。

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ちょっと早めだけど切り上げてパーキング近くのジュニパージャンクションという店に足を運んでみる。ここは美味しいアイスクリームが食べられるお土産屋兼クライミングショップ、んいや、クライミングショップ兼お土産屋という感じの店。20代の頃クライミングの帰りとか、暑くて登れない時間帯にここでアイスを食べてよくダベったものだ。そしてここのアイス、シングルスクープ、ダブルスクープ、トリプルスクープとあるのだが、4個重ねを「モンキーフェイス」と呼んでいる。モンキーフェイス登頂を記念してそれを喰らおうと楽しみに来たのだが、運悪く閉まっているではないかーっ!ここの店主のコリンさんと13年ぶりに会えると思っていたのにそれも残念やわ。まあ還暦でまた来る可能性が出てきたので、それまでちゃんと店続けておけよー!

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その後はもう1軒のクライミングショップ「Redpoint Climbers Supply」に寄ってみる。昔は小さな小さなショップだったけど、今は場所が変わって大きくなっただけでなく、なんと地ビールが飲めるようになっているではないか!前島さんもみづほも、店員さんおすすめの地ビールを飲んで気分よくなりそのまま帰宅。家の窓からは今宵も素晴らしい夕陽を拝むことが出来た。スミスでの久しぶりのクライミングはあっと言う間に終わってしまったが、目標のモンキーフェイスにみんなで登れたことはまた我が家の良き思い出となったことだろう。これも妻や娘のがんばり無しではとても達成出来なかったこと。今回も本当によく押し切った。お疲れ様! そして前島さんの参加が今回の成功には欠かせない。一緒に登れないあかつきさんを見てくれたことももちろんだが、トラブル発生時に彼女がいなかったらもっと大変なことになっていただろう。本当にありがとうございました。 一緒にビッグモンキーの上に立てたことも嬉しく思う。トリップ最後のオレゴンの夕陽を見ながら父ちゃんはいろんな意味で感動していたのでした。

つづくー。

Family Trip 2016: Little Monkeys on The Big Monkey〜Day4 - 2016.09.01 Thu

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クライミングが出来る日数は残り2日。未だ今回のトリップの目標であるモンキーフェイスに取り付けていない。この日も朝5時には起床しコーヒーを淹れる。ひんやりした室内にコーヒーの香りが漂い始める頃、娘が起きてくる。熱は下がっているようだし、表情も悪くない。今日は登れそうだ。This is the day!

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通い慣れた道をやや息を切らしながらアプローチしていくと、本日も大きなお猿さんが待ってくれている。今日こそはへばりついたるかならー。家族でモンキーフェイスの天辺に立つ。同じ立つなら娘と自分の干支にあたる申年に登ってやろうと思いついたこの計画、遂に実行に移す時が来た。

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今回我が家が頂上まで辿るルートは、West Face Variationというルートの下部2ピッチからMonkey Spaceという2ピッチの5.11に繋げるライン。フリーで行けるラインとしてはこのラインが一番グレード的に低い。とは言え、5.11台のルートは妻と娘にとってはこれまでのファミリートリップでは体験したことのないレベル。二人ともボルダーではV3やV4は安定して登るのでムーヴ的には問題なしと踏んだのだが、さてどうなることやら。

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おねむさんの次女を前島さんに託し、いざ出陣!

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1ピッチ目は全体的に傾斜のない壁でワイドクラックや凹角クラックを登る5.7。グレード的にやさしめなのでフォローは同時登攀。朝一発めのクライミングということもあるが、出だしのクラックシステムへ移るハングの乗っ越しが見た目以上に悪く感じた。

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2ピッチ目はWest Face Variationの更にバリエーションにあたるWest Face Variation Direct(ややこしい!笑)を登ることにする。写真ではオレンジのロープの上に見える凹角ライン。こちらの方がグレードがちょっとだけ上がるのだけど、真っ直ぐに3ピッチ目のアンカーに進めるし、時間短縮にもなる。なによりラインとしてきれい。

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ラインは狭いチムニーという感じなのだが、プロテクションは案外小さい。どんなクラックかわからなかったのでトポ通り2インチサイズまでしっかり持って行ったが、ほどんどが0.3〜0.5サイズのカムやナッツで事足りる。メトリウスのマスターカムやBDのX4が非常にしっくりきてよかったな。

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登っている我々が見えるかな?下部の木と木の間に白く見えるのがみづほさん。悠さんはおそらく木の後ろで見えない。上部岩が濃い紫に変わっているところの水色がビレイ中の自分。やっぱこの猿はでっかい!

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さすがにフルレングスで2ピッチあがってくると結構な高度感が出てきます。モンキーファイスとその横の壁の間から朝陽が通り抜けてきました。

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ふと周りの風景に目をやるとモンキーフェイスのシルエットが浮かび上がっています。まだ登っている面は日陰。いいペースで登ってきている。

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2ピッチ目終了点で水を飲む悠さん。体調も良く一安心。

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妻も楽しそうに登ってくる。地上から「がんばれー」とあかつきさんの声援が聞こえてくる。ええやんええやん、この調子でどんどん行くで〜。

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いよいよMonkey Spaceに合流。ここからは完全にボルトのフェイスルートなので、かさばるギア類は全てパックに突っ込んでクイックドローだけで登ります。フルピッチを2ピッチナチュプロということで約2セット分持ってきてたので重い重い。(笑)

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本日3ピッチ目、Monkey Spaceの1ピッチ目になるこのセクションは大きく左上する所謂トラバースルート。傾斜は基本垂直だし、結構足も大きいのでそんなに難しくはないが、スタンスを探そうと下を見るとスッパーンと空間が足元に広がる。動けば動くだけモンキーフェイスの露出度の高い部分に近づいていくのでかなり緊張する。ドキドキしながら極小エッジを握りしめ、核心のバルジを超え、最後のランナウトも慎重にこなす。ふ〜、ワイルドなラインだー。

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さあ、悠さんの出番!グッドラック!

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ホールドは全体的に細かく、中には2〜3mmくらいのエッジも使ったかな。ただこの人は小さいエッジは得意なのでグイグイ進んできます。

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そして核心のバルジ越えに突入〜。

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結構粘ったのだが、残念ながらテンションが入ってしまう。あそこは悠さんには足が深いんだろうなあ。

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そこ以外は綺麗に登ってきた。このワイルドなロケーションでよくがんばっている。

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このピッチ、実はある意味フォローの方が怖いと思う。左上ルートなのでリードのフォールは右下に落ちていくわけだけど、フォローの場合は上の支点が左上に位置することになるので、落ちると空間側に降られて落ちていくのだ。フォローでも結構ドキドキ感が味わえると思う。みづほも順調にトラバースをこなしたが、直上するバルジ部分で残念ながらテンションが入ってしまう。しかしそれ以外は得意のタイプのようで問題なく登ってきた。

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3ピッチ目の終了点はモンキーの後頭部にあたる部分にある大ケイブ。ケイブ内にはビバークが出来るように石が積んである。このケイブの反対の端が4ピッチ目であるMonkey Space2ピッチ目、すなわち頂上までの最終ピッチがある。時刻は11時前。予定通りのペースでここまで来た。ちょっと余裕も感じてしばし休憩。この調子でいけば昼には地上に戻れるだろう。その時はそう思っていた。。。

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最終ピッチはケイブのリップを足ブラでスタート、そこから130度くらいのどっかぶりを約5〜6m登ると傾斜が落ち、そこからは簡単なスラブで頂上に抜ける。下部のどっかぶりにはかかりの良い第1関節ポケットというかスロットが続いているのだが、これが中々に遠い。出だしがルーフのリップスタートなので足もなく、キャンパスムーヴから片足乗り込みの引きつけロックの動きが連続する。トポに説明がある通り、11Bにしてはかなりパワフルなピッチだ。

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しかもわんさかギアを詰め込んだパックを背負ってるから結構つらいのだ。見てください、この出立を!まるでアルパインクライマーです。(笑) それでも「オンサイトするんじゃ〜、諦めてたまるかぁ〜っ」と振り絞ってこのセクションを突破。ほんまウェイトトレーニングしてるみたいやった。ここまでのピッチではハンガーにかけたヌンチャクにもう1本別のヌンチャクを悠さんのロープ用にかけながら登ってきたのだが、このピッチでは2本かける余裕が全くなし!まあみづほさんのロープに悠さんのハーネスをヌンチャクで連結して登れば壁から離れても戻れるだろう。ボルト感覚も近いし、みづほもいざとなればヌンチャク掴んで上がってくるか。上部のスラブを登りながら自分の行いを正当化する。(笑) そしてまず自分がトップアウト。すかさずビレイ点を構築!頂上からケイブまでは約15mくらいなのだが、お互いの声が全く聞こえない。下からの声はケイブの中から上には行かず、上からの声は空へ消えていく。まあこれは想定内だったのでビレイ準備OKの合図をロープを5回引いて出す。

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しかしこのピッチは悠さんとみづほにはちょっときついかもなあ。そう思いながらまずは悠さんのビレイを始める。上からは下がどういう状況かもちろん全く見えないし、声をかけてもかけられてもお互い聞こえない。初めは少し動いた感じだったのでロープを取るが、グッと引っ張られる力が伝わって来る。早速テンションが入ったなとロープの感触で想像する。

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短いとは言え、傾斜が相当あるので落ちると壁からおもいっきり離れます。悠さんはまだみづほのロープに連結しているのでそれでもマシですが、壁にもどってホールドを持ち動き始めるのは相当つらいはず。

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ロープが少し緩んではグッと引き込まれる。また緩んだかと思うとすぐに引き込まれる。各駅停車で進んでいるのが伝わってくる。小一時間は格闘しただろうか、ようやく悠さんの姿が視界に入ってきた。いくらかかりが良いホールドとは言え、被った壁でのトップロープ特有の外に吐き出される力のかかる状態では中々持てなかったようだ。けどようがんばったなー、悠さん!

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さあ、最後はみづほさんが登ってくるだけ。残念ながらこのセクションを登る彼女の写真がありません。彼女の登る姿を唯一撮れる場所にいたのは地上にいる前島さんなのだが、このタイミングであかつきさんがうんこをしてしまったので、てんやわんやで写真が撮れなかったそうだ。(笑) さてそのみづほさんだが、やはり傾斜にやられて早々にテンションが入る。まあこれは予感していたこと。しばらくすると動き出し、またテンション。悠さんと同じ各駅停車になりそうだ。しかし待てど暮らせどテンションが緩む気配がない。まさか落ちて壁から離れすぎて戻れないんじゃないか? 大声で確認しようとしても俺の声が届かない。かすかに「下してー!」と聞こえたような気がするのだが、もしも下して取り付きに戻れなかったら洒落にならない。なんたって今登っているところはモンキーフェイスで一番長い部分。みづほの足元には100m以上の空間があるはずだ。これは下手にロワーダウンなんかできない。

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みづほが登り始めてから既に1時間は経過している。埒があかないので不本意ながら撮影用に携帯していたiPhoneで地上の前島さんに電話する。これ国際電話やん。。。
俺:「全然動かへんねんけどどないなってる?」
前島さん:「ぶら下がって戻れないみたい。一旦取り付きまで下してあげて。」
俺:「壁から離れすぎてない?下して取り付きに戻れそう?」
前島さん:「大丈夫そう」
そんなやりとりをしてテンションが入りまくったATCガイドを角度調整してジワジワおろす。
しばらくすると電話がかかってきて登り始めたと連絡がきて再びビレイに入る。落ちても出来るだけ外に飛び出さないよう、結構タイト目にビレイする。そしてまた再びロープが下にググっと引き込まれる。あー、またテンション入ったか。再び下してくれと指令が来るがここでトラブル発生!

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むむ、ロープが緩められない!ATCガイドが写真1枚目のような状態になっているではないか。通常は2枚目のような状態でフォローのビレイをするのだが、ロープの径が細いこと、鬼のようにテンションを入れていること、また下へ伸びているロープの角度がビレイ点がスラブ状の場所だけに真下とかでなく、ほぼ横に向いて出ていることなどの要素が絡まり、ビレイ器具の中のロープに捻れが生じて完全にロックしてしまったのだ。テコの力を利用した通常のテンション解除方法も機能せず。捻れてはさまったビレイハンド側のロープを外すにはみづほがロープからテンションを抜いてくれないと無理なのだ。しかしテンションを抜くことができるならそもそもこんな状況になっていない。まあロープをゴボウで登って次のヌンチャクをがんばったらつかめるか、もしくは終了点で使ったスリングを数本持っているはずだから、プルージックでアブミを作れば前進できるだろう、あれ?みづほはプルージック知ってるはずやんな。ワンゲル時代に練習してるはず。。。そんなことを考えながら力づくで挟まったロープの解除に全力を注ぐ。しかし全く動かず。みづほも上がってくる気配がない。

再び前島さんに電話する。
俺:「持ってるスリングでプルージック作ってセルフレスキューするように言うて」
前島さん:「了解」
どうやらスリングアブミの使用は思いついてなく、壁になんとか戻ろうと四苦八苦していたらしい。しばらくするとドンっと急激にロープが引っ張られる感触がくる。どうやらアブミを使って高度は稼いだものの、次のヌンチャクまで辿り着けず落ちた模様。再び携帯で電話する。
俺:「とにかく次のヌンチャクにセルフ取らせて」
前島さん:「了解」
と言った感じの会話を合計3回くらいはしただろうか。すぐ下にいる人のために国際携帯通話をせなあかんとは。次のファミリートリップのためにトランシーバーを買おうとその時決心したのだった。

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アブミを使ってもなんどもなんども墜落していることがロープから伝わって来る。使用しているロープは9.1mmのシングルロープなのでよく伸びるため、登り返しの距離があることが想像できる。またセルフレスキューに不慣れであることも一連の作業がうまくいかない理由なのだろう。幾度となく繰り返された墜落の末、ようやくロープが動き出した。そのおかげでロープの捻れも解消し、再びビレイ開始。ほどなくするとようやくみづほの姿が見えた。地上から100m以上の位置での登り返しからの空中への墜落はさぞ衝撃もきつかったことだろう。それに空間に投げ出される恐怖も相当なものだったにちがいない。

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スリングアブミに足を突っ込んで、必死に細いロープを素手で握り続けたためだろう、妻の手の皮は擦り切れて流血していた。ほんまによう諦めずにがんばったよ、みづほ。悠さんもよくぞここまで這い上がってきた!

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頂上からの景色はやはり最高だ!しかし数時間に及ぶ格闘でクタクタになった妻&娘、俺も炎天下のビレイで再びコンガリ日焼け。皆あまり絶景を楽しむ余裕がない。集中力が切れやすい瞬間ではあるが、これからまだ地上に降りないといけないのだ。モンキーフィエスから降りるにはJust Do Itがある東面を完全空中懸垂で降りていく。クライミングの事故の多くは懸垂下降で発生する。最後までみんなで力を合わせ気を引き締める。

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いつもの如く娘とPASで連結し、タンデムで岩を下り始める。足元には60mのオーバーハングと空間が広がる。かなり怖いやん!おしりがキュっとなる。今回はフルロープの空中懸垂ということで、ペツルのシャントも持参しバックアップもバッチリ!けど懸垂下降は何度やっても緊張するなー。

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みづほもコールの声に緊張しているのがわかる。ゆっくりと確実に空中を下りてくる。

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最終ピッチの格闘もあって相当体幹がよれているのだろう。背中に背負ったバックパックに引っ張られて体が横になる。がんばれ、みづほ!もう少しで地上に降りれる!

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フラフラしながら取り付きに戻る。時刻は既に午後3時になっていた。相変わらず我が家のトリップは色々あるわ。

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悠さんもVサインはしてくれているが疲労感半端ないな。おつかれさま!

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そしてあかつきさんもよう我慢してくれました。長い時間みんなを下から応援してくれてありがとう。また今回は前島さん抜きでは成しえなかったこと。あかつきさんの面倒を見ながら、俺とみづほのコミュニケーションの中継もしてもらったり、本当に助かりました。ありがとうございました。

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今回のこのトリップに関わってくれた全ての皆さんのおかげで今年の目標をなんとか達成できました。もちろん欲を言えばフリーで抜けたかったけど、それは俺の準備不足とも言える。少し強引にこの計画を進めてしまったのかもしれない。反省点も多々あるが、みんなで諦めずにあの大きな猿の頭の上に這い上がったのは事実。父ちゃんのわがままを聞いてくれてほんまありがとう。君たちは最高の家族です。

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その夜はみんなに感謝の気持ちを込めて、父ちゃん特製のソフトタコスを料理しました。

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暑い中よう動いたのと、やり遂げた感で食が進む進む。

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いつもいつも予定通りに事が進まない我が家のファミリートリップだけど、挑戦する度に妻や娘の顔つきがしっかりしてきてるように思う。父ちゃんが頼りないから本人たちが余計にがんばってるせいかもしれない。家族で一緒に一つの目標に向かって動けることの幸せ、その機会があることへの感謝、俺は本当に恵まれたおっさんやと思う。 でもここで満足はしないのだ。まだまだ世界にはみんなで這い上がりたい岩が沢山あるのだ。あかつきさんとも一緒に攀じれる日が待ち遠しいぞ。

Family Trip 2016: Little Monkeys on The Big Monkey〜Day3 - 2016.08.30 Tue

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本日も5時起き。空気が乾いているため夜明け前は結構肌寒い。アメリカに到着してからずっと調子の悪かった悠さんだが、この日は動けそうだ。ようやく目的のモンキーフェイスにアタックできる。病み上がりで心配ではあるが、これから始まるチャレンジにワクワクしながら岩場に入る。

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ほとんどの岩はまだ陽が当たってなくてとても気持ちいい気温だ。歩みを進めるほどに体がやっと暖まってくる。昨日熱中症でぶっ倒れかけた同じ岩とは思えない。1日で夏と秋が来る感じ。やはりここは大陸なんだとしみじみ思う。

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モンキーフェイスのある西側エリアに行くには半島状の地形をグルッと回るか、アステリスクパスという4級クラスの岩のギャップを超えていくか、もう一つは北にあるミズリーリッジという山超えをするかの3通りの方法がある。横着でせっかちな我が家は最も険しいが最も短時間のアプローチであるアステリスクパスをチョイス。これがでもなかなかに険しい。通常はロープを出すほどではないが、子連れだと出したくなるようなレベルなのだが、我が家の母は相変わらず強し。暁さんを抱っこしたまま突破します。

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その後もワイルドな地形を突き進む。悠さんは少ししんどそうだがなんとかついてきている。

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ふと西の空を見上げると気球が浮かんでいた。これから夜明けのスミスを空から見るのかー。さぞ絶景だろうなあ。

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そんなことを思いながら進んでいると見えてきたよー。画像右に見えるニョキッと突っ立ている岩塔。ちょうど猿が右を向いているように見えるスミスロックの象徴的な岩。あれがモンキーフェイスだ!

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さあ、今日はついにあの岩にアタックするぞ!岩に近づくにつれ胸の中で緊張と興奮が高まるのがわかる。暁さんは爆睡中。あんな険しいアプローチを散々揺さぶられながら突き進んでいても寝てられるなんて、こりゃ今後が楽しみだ!(笑)

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そしてようやくモンキーフェイスの基部に到着。遅れて辿り着いた悠さんの様子が少しおかしい。やっぱりまだ完全回復ではなかったのか。。。具合を聞いて見るとかなりしんどいらしい。これから4ピッチ(内2ピッチは5.11台)を登るにはちょっと厳しいか。。。しばらく様子を見るが回復の兆しが見えないので本日のファミリートライは残念ながら中止とする。昨日の出来事の後だし、ここは少し慎重に。

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さあどうしよう。せっかく基部まで来ているし、この日は俺と前島さんでモンキーフェイスを登り、翌日ファミリーでトライするのはどうかという案を出してみた。そうすれば核心ピッチのムーヴもわかっているし、ギアも何が必要なのか最小限に絞れるし、ファミリートライにとっては効率が上がる好条件ではないかと提案してみたのだが、妻から一言、「それじゃあファミリートライがオンサイトにならへんやん」。おおおー、妻よ、君はモンキーフェイスをただ登るだけでなくいかに登るかも拘っているのだな。それでこそキオリファミリーの大黒柱だ。この妻の強い意志を尊重し、この日は近くの壁にある他のシングルピッチルートを登ることにする。まあこっちに来てまだ1本も登っていないのだから、岩に慣れるという意味でもそれがいいのかもしれない。

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西側のエリアは東側に比べて岩の高さが低く、傾斜も弱いことからあまり開拓されていない。ただそんな中でもモンキーフェイスとメサヴェルデという壁は高品質の珠玉のルートが存在する。特にメサヴェルデは中級者にモッテコイなスケール感抜群のルートがあっておすすめです。妻も13年前にも登ったCosmosに再トライ。はじめはややぎこちない動きではあったが、余裕をもって完登。

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メサヴェルデの看板ルートはなんと言ってもこのScreaming Yellow Zonkersだろう。約30mのスケールの美しいフェイスに奇跡的に散りばめられた「小石」を摘んで登っていく。

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スミスロックの岩はVolcanic Tuffという火山灰が固まって出来た岩なのだが、場所によっては硬い小石が混ざっていてそれが侵食によって周りが削られて突起物として今の姿になっている。体重をかけると欠けてしまうものもあるのだけれど、今残っている小石たちはかなりしっかりしている。このScreaming Yellow Zonkersはその突起がうまく繋がっていて、このスケールながら5.10B。スミスを代表する5.10の1本で当然4つ星。 自分もスミスに来始めた初期に登ったルートだ。28年ぶりくらいの再登になるのか?今も変わらぬ最高のルートだ。

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周りの風景はこんな感じ。遠くにSsitersやMt.Bachelorの山並が見える。最高のルートをこんな環境で堪能できるスミスはやっぱええとこや〜。

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自然のおいしい空気を吸ってるうちに少し元気が戻ってきた悠さん。今日はまだ登れないけど明日に備えよう。

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一方の暁さんはマイペースで元気いっぱい。ズボンかと思いきや!もう砂だらけやんけー。なんでも遊び道具。

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そんな楽しげな雰囲気に誘われてこんな珍客も。

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おそらくスミスロックでよく見かけるBull Snakeの小さいやつ。あ、無毒です。ただスミスロックにはRattle Snake(ガラガラヘビ)も生息するので注意が必要。向こうから攻撃してくることはまずないのですが、知らずに踏んだりしたらやっぱヤバいっすからねー。あとやはり子連れの場合は要注意です。気が付いたらしっぽを掴んで振り回してるかもしれません。このブルちゃんはしばらく様子を見ていたら岩かげに消えていきました。

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みづほさんもヘビのような粘りでScreaming Yellow Zonkersはフラッシュできました。スミスロックはアメリカで最初の「スポーツクライミングエリア」として知られています。要は基本的にプロテクションは全てボルト、開拓はほぼ懸垂下降でボルトを設置の岩場です。ただ所謂他のスポーツクライミングエリアと違うところは、安全性重視でボルトを打ちまくっているのとは違い、必要最低限の数しか打っていないこと。5.10台と言えども、核心以外は結構ランナウトすることもしばしば。Screming Yellow Zonkersはそれほどでもないですが、日本のボルトルートに比べるとボルト間隔は大分遠いかな。自分の技量をしっかり確認しながらレベルアップしていける環境ってのはクライマーとしてとても重要なこと。ただでさえ事故が起きるリスクのある遊びだから、起こさない技術や知識、判断力を養うことのできるルートを登ることがその人の経験値を健全に高めていける唯一の方法だと思う。みづほさんよくがんばりました!

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Screaming Yellow Zonkersの右隣には、これまた長く見栄えのするカンテラインがあります。これはMoons of Plutoという5.10dで、このルートもスミスを代表する5.10の4つ星ルートです。ノブと呼ばれる小石とカンテを駆使して最後は不安定な体勢からスロットにデッドという登りごたえのある1本。スミスで西側を登る時はぜひScreaming Yellow ZonkersとMoon of Plutoは登って欲しいラインです。それにしてもスミスのカンテはやっぱりきれいだなー。俺のカンテ好きはスミスで育ったせいもある。岩という物質と空という空間の境目を登るっていうのがカンテラインのたまらんところですわー。

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そうこうしている内にお陽さまも動いてきて暑くなり始めたのでこの日はこれで終了。悠さんの体調のこともあるし、早めに切り上げて翌日に備えることに。

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駐車場の横でしばし休憩。この芝生の上がほんま気持ちええねんなー。暁さんも大好きなスポットです。こういうのも含めて我が家の岩旅が娘たちの思い出になってくれたらいいな。

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明日のために今宵はがっつり食べておこう。この夜は父ちゃんの手料理ということになりまして、早速買い出しです。ちょうどええサイズのミンチがありました。笑

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父ちゃんがスミスロックに住んでた頃の主食だったアメリカンなミートソーススパゲッティ〜!

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男の料理が口にあったのか、子どもたちもたらふく食べてご満悦?! 悠さんもええ顔になってきた! 明日こそモンキーフェイスのアタックやぞ!登れる日は後2日しかないねんから頼むで〜!

つづくー。

Family Trip 2016: Little Monkeys on The Big Monkey〜Day2 - 2016.08.29 Mon

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素晴らしいお宿のおかげで、しっかり睡眠も取れ、移動疲れもかなりなくなった。それでも若干の時差ぼけがあるのかかなり早朝に目が覚めた。外はまだ暗いが既にモーニググラデーションが始まっていて思わず見入ってしまう。今回のトリップには早起きの方が実は都合がいい。スミスロックは基本的に春と秋がベストシーズン。ハードレッドポイントを狙う場合は冬でも登りに行くが、夏は基本的に暑すぎて登る人は少ない。自分もこの地に数年住んでいたわけだから、夏のえげつない暑さは十分承知している。ただここはアメリカ。日本と違い湿度が相当低い。よってどんなに暑くても、日陰を選んで登れば結構登れたりするのだ。日本に比べればはるかに登りやすいコンディションであることは間違いない。

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スミスロックはクルックドリバーという川に侵食された"半島"のような地形である。メインエリアは画像の右側、東面に集中している。今回の我が家の目標はモンキーフェイスの天辺まで登ることである。このモンキーフェイスはスミスロックの西面に位置するため、基本的に午前中は日陰になるのだ。合計4ピッチで頂上まで抜けるので、家族3人なら朝の7時に取り付けば昼過ぎには十分降りてこれるという計算だ。この日も6時出発のために5時過ぎには起きていた。

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しかし体調が芳しくない悠さんはまだ本調子が戻っていないみたい。まだ体がだるくしんどそうだ。この日はモンキーフィエストライはやめて、様子を見ようということになる。とりあえず午前中を使って、俺と前島さんで軽くやさしめのマルチを1本やってくることにする。

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この日登ろうとしたラインはモーニンググローリーウォールにある3ピッチルート「Zebra/Zion」なのだが、東側に位置するエリアであるから当然すでに日向である。またスタートも少し遅れてしまったので、気温がグングン上昇していることがわかる。まあ10aだし、3ピッチなのでちゃちゃっと登れば大丈夫でしょうと準備を始める。岩場には同じ壁にあと2パーティがいて、Zebra/Zionのルートの出だしがかぶるルートを登っていたので、バリエーションのダイレクトスタート5.10cを登る。これが暑いなかではホールドがかなり滑って侮れない。落ちそうになるのを必死で堪え登ったため必要以上に力を強いられてしまった。

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その後は快適なガバから凹角クラックをグイグイのぼっていくわけなのだが、なんだか体が異常にだるい。ウォターチューブで水を飲みながら登っていたのだが、どうも体が思うように動いてくれない。約50mのピッチの終了点にたどり着いた時は自分のセルフはすぐに取ったものの、息が上がってフォローのビレイの準備がすぐに出来ない。深呼吸をしても呼吸が正常にならないし、体が動かないのだ。「これは熱中症か?!」と背中に背負っている水筒から水を口に含み、手のひらに吐き出して顔を洗う。頭からかける。体中を水で濡らす。いうことを聞かなかった体がようやく動きだしビレイオン。 フォローの前島さんも暑さと戦いながら登ってくる。そのうち色彩感覚に異常が出てくる。スミスの岩はオレンジなのだが、それが白っぽく色が変わっていくのだ。「むー、これは結構ヤバいな」と感じ、ビレイをしながら口に含んだ水で服を濡らしていく。そうこうしているうちに色彩感覚も元に戻ってき、前島さんも終了点に到着してきた。上がってきた前島さんもいつもの俺の段取りより時間がかかっているのでおかしいと思いながら登ってきたらしい。案の定途中のプロテクションも俺らしくない入れ方をしてるものが数個あったらしく、登っている間に既に熱中症が始まっていたのかもしれない。残り2ピッチは5.8と5.9なのでグレード的にはやさしいが、時間的にこれからもっと暑くなっていくし、ここから先でぶっ倒れても大変なので敗退することにする。上まで一気に抜けるつもりで取り付いたので60mロープ1本で来てしまっているので、50mピッチの1ピッチ目を2回に分けて懸垂して地上に戻る。取り付きに残置していたアプローチシューズは火傷しそうなくらい熱くなっていてしばらく履くことが出来ないほどだった。岩の上は照り返しもあるのでもっと暑い。しかも動いているから尚更だ。熱中症の症状が出たのは今回初めてなのだが、心から恐ろしいと思った。 

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ということでこの日はこのまま一旦レンタルハウスに戻り、すぐさま水シャワーを浴びて冷却。身体中が軽い火傷をしているような日焼けをしていた。火照った体を冷水に当て続けようやく体が落ち着きを戻す。まあそんな感じのワヤな1日だったのでクライミング写真がこの日は全くなし!ご期待に添えなくてすみません。。。 

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その後たまたま帰省しているRevolution/Pusherのクラークと晩飯を食べに行く。彼の田舎はなんとこのレッドモンドなのだ!笑 これまでソルトレークからコロラドに会社を移して活動していたが、今回無期休暇に入りオレゴンに戻ることにしたそうだ。ベースをBendに移すらしいので、今後どんな動きをするのかまた楽しみだわ。悠さんも晩飯時分にはかなり調子が戻ってきて、250gほどのステーキを平らげていた。よっしゃ、明日はみんなでモンキーに行くぞー!

つづくー。

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